5月1日、2日にアブダビで行われるプロフェショナル・ワールド・カップでは必ず決勝が行われるよう、同じ所属選手を準決勝で戦わせることが発表された。
理由としては、ブラジル予選では同門同士での対決を避け、決勝試合が行われなかったためだ。
そこで、考えだされた解決策としては、同じ所属選手が準決勝まで進んだ場合には、決勝戦で戦わせないように途中で組み合わせを変更する。準決勝で戦わせ、大会の決勝戦での八百長や、試合をせずに対戦相手の手を挙げることがないようにするためである。
イベントの主催者であるカルロス・サントス氏は「同門の選手が組み合わせ表の同じ側につくことはないが、両選手ともに準決勝まで進んだ場合は、準決勝で試合をさせることが決定した。そうなれば、決勝戦での試合が必ず実現する。」
2009年のパン・アメリカン選手権では、3階級も決勝戦がなかったことや、ニューヨークオープンでも、無差別の決勝戦が行われなかったことに、大会関係者は懸念を示した。
「道場の実力格差や、大会に出場するための予選がないことから、そういう問題が出てくるのでは?」という声もあった。
日本の柔道では、決勝戦での、同所属選手の本気の試合が見られるのが、当たり前にはなっている。テレビ放送もあり、スポンサーの影響で必ず試合が行わなければならないのだ。
一方ブラジルでは、柔術道場によって、考え方や文化が異なることが多い。一昔前には所属道場を変えずに、一生同じ道場で練習する選手が多かった。練習する選手同士の間では、実力がはっきりしていることが多いため、同門同士で試合が行われないことも多いのだ。
ブラジルの文化は、上下関係を重んじることがあまりない国ではあるが、柔術の道場では、年齢が違っても、帯の色によって上下関係が見られるのが特徴だ。そのため、決勝戦まで進んだ同門選手は、ベテラン選手に1位を譲ることがある。
個人優勝よりも、団体の優勝を目指すことに美意識を持っている道場が多い。だから,優勝する可能性の高い選手同士を、道場内で予め予選をし、本番では戦わせないようにした。
世界的なイベントで、決勝戦がないということがあってはならない。ということに運営のスタッフが頭を悩ませていたが、その問題に対して、現在の最善の策だと考えられる。
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